高齢出産を願う

高齢出産で気になる出生前診断の種類は?診断でどんな異常がわかる?

高齢で出産する際に気になることの一つに、出生前診断があります。

高齢で妊娠した女性の中には、赤ちゃんが健康で生まれてくるかどうか、異常がないかどうかを、前もって知りたいという人も多いです。

統計的に見ても、高齢になってからの妊娠は、20代の若い頃の妊娠に比べて、胎児の異常が多くなっています。

染色体異常の一つのダウン症の子が生まれる確率は、母親が25歳の場合は0.07%、30歳の場合は0.11%、35歳の場合は0.26%、40歳の場合は0.89%というように、高齢になるほど高くなる傾向があります。

出生前診断はいろいろな種類があり、それぞれの検査で、検査の時期、検査の方法、検査の性格に違いがありますが、これらの検査で、染色体異常や先天性代謝異常などの先天性異常を調べることができます。

出生前診断を受ける場合には、もし胎児に先天性異常の可能性があると分かった時にはどうするのかという、心の準備をしておくことが大切です。

「事前に知ることができたので、出産に向けていろいろな準備ができた」という人がいる一方で、「検査の結果を知って、育てる自信をなくしてしまい、産むのを断念した」という人がいるというのも現実です。

出生前診断を受けるかどうかに関しては、パートナーとよく話し合ってから決めるようにすることが大切です。

出生前診断

「出生前診断」とは、読んで字のごとく、出産に先立って胎児の健康状態を診断することで、妊娠9~18週頃に行われる「胎児の病気や染色体異常の有無」を調べる検査の総称です。

とりわけ、染色体異常は加齢の影響を受けやすく、35歳以上の高齢出産の場合にはリスクが高くなるとされています。

出生前に胎児の状態を知ることで、何か異常があった場合でも産後すぐに専門家のケアを受けることができるというメリットがある一方で、「命の選別」につながるという問題も指摘されています。

ただ、出生前診断によって判明する障害の種類はそんなに多くはなく、実際に生まれてから分かる障害の方が多いというのも現実です。

出生前診断の検査の種類には、超音波検査、母体血清マーカーテスト、羊水検査、絨毛検査、新型の母体血胎児染色体検査などがあります。


超音波検査

身近な出生前診断に、健診時の超音波検査があります。

妊娠9~12週頃の超音波検査では、胎児の首の後ろに「たるみ」や「むくみ」がないかをチェックします。

首の後ろにたるみやむくみが見られた場合には、統計的に見て染色体異常の可能性が高いといわれています。

しかし、首の後ろにたるみやむくみがあるからといって、必ずしも胎児に染色体異常があるというわけではありません。

超音波検査による首の後のむくみやたるみの測定は、普及し始めてからまだ日が浅く、検査の確実性も含めて、模索しているような状態です。

また、超音波検査は、妊娠20週頃には、胎児の心臓に異常がないか、心音の様子を調べるためにも行われています。

母体血清マーカーテスト

母体血清マーカーテストは、妊娠16~18週頃に、母体から血液を採取して調べる、スクリーニング検査です。

母体からの採血だけでできる検査なので、流産の危険はありません。

確定診断の検査ではなく、特定の病気や異常がある確率の高い人を選び出す検査で、疑いがある場合は「陽性」、疑いがない場合は「陰性」と呼ばれます。

胎児に異常があると、母体の血液中に含まれるホルモンやたんぱく質の値に変化が見られるので、それらの濃度を調べることで胎児の状態を予測することができます。

母体血清マーカーテストは、ダウン症、18トリソミー、開放性神経管奇形などの「予測」をするための検査です。

確定診断をするためには、さらに、羊水検査などをする必要があります。

母体血清マーカーテストには、「トリプルマーカーテスト」と「クアトロテスト」の2種類がありますが、費用は3万円前後です。

トリプルマーカーテストとクアトロテスト

トリプルマーカーテストは血液中に含まれている3種類の成分を、クアトロテストは4種類の成分を測定しますが、クアトロテストの方が予測性の点では優れています。

これらの検査は、安全で手軽な検査ですが、結果に対する判断に難しい面があります。

ダウン症の確率に関しては、約300分の1を基準にして、それよりも確率が高い場合には「陽性」、低い場合には「陰性」とされますが、「染色体異常のある確率が300分の1」といわれても、それをどう判断すればいいのか分からないということも少なくありません。

母体血清マーカーテストは、病気や異常の確率を知るための検査なので、確定診断を望む場合には、羊水検査などをする必要があります。

羊水検査

羊水検査は、妊娠15~17週頃に行われる検査で、染色体異常、先天性代謝異常、遺伝子異常の確定診断を行うことができます。

羊水検査は、母体の腹部に局所麻酔をして穿刺針(せんししん)という針を刺し、子宮内の羊水を採取して行います。

採取した羊水に浮いている胎児の皮膚の細胞を培養して染色体を調べますが、検査にかかる時間は10分程度です。

母体血清マーカー検査に比べるとかなり正確な判断ができますが、それでも異常の程度までは分かりません。

羊水の採取は、通常は1回ですが、羊水が採取しにくい場合には2回、3回と針を刺すこともあります。

羊水採取後には、エコーで赤ちゃんに異常がないかを確認し、検査後はしばらく安静にして様子をみますが、病院によっては入院が必要な場合もあります。

ただし、羊水検査にはリスクが伴います。

麻酔をするので、母体に痛みはありませんが、超音波で胎児の位置を確認しながら、針を刺して羊水を採取するので、何らかの感染を起こしたり、針が胎児に触れてしまうということも、全くないとはいえません。

羊水検査をすることによって、流産したり感染を起こしたりする可能性が、0.3%程度(300回に1回程度)あるといわれています。

羊水検査の費用は、12万~15万円程度というのが一般的です。

絨毛検査

絨毛(じゅうもう)検査は、妊娠9~11週の頃に、胎盤のもとになる絨毛組織を採取して、染色体、遺伝子、代謝の異常を調べる検査です。

羊水検査とほぼ同じような確定診断をすることができます。

検査方法には、お腹に針を刺す方法と、膣から管を入れる方法がありますが、妊娠早期に行われるので、羊水検査より早い段階で結果が分かるという利点があります。

しかし、流産率が約2%程度といわれていて、羊水検査よりもかなり高くなっています。

絨毛検査は、検査を実施できる施設も限られていて、遺伝的な病気が気になる人が強く検査を希望した場合にのみ行われるというのが現状のようです。

絨毛検査の費用は、15万円程度というのが一般的です。

新型の母体血胎児染色体検査

新型の母体血胎児染色体検査は、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)と呼ばれ、母体血を利用して、胎児に染色体異常がある可能性を判断します。

母体の血液中にごくわずかだけある胎児のDNAを採取して検査しますが、母体の血液を採取するだけで検査ができるので、流産のリスクはありません。

検査結果がでるまでには2週間ほどかかりますが、妊娠期間が進むほど母体血中の胎児由来の遺伝子濃度が減少していくので、検査の精度は下がっていきます。

ただし、結果が陽性となっても、胎児が染色体異常でない可能性もあるので、確定診断には羊水検査を受ける必要があります。

この検査を受けるには、一定の条件を満たしている必要がありますが、その条件は次のとおりです。

検査時期

妊娠11~16週。

検査方法

母体の血液を採取して、血液中に浮遊する胎児由来のDNAの分析を行う。

検査対象となる人

・分娩時に35歳以上
・染色体疾患(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのいずれか)に罹患した赤ちゃんを妊娠・分娩した女性
・超音波検査や母体血清マーカー検査などで、染色体異常のリスク上昇を指摘された場合
・両親が染色体異常の場合
など

出生前診断のメリットとデメリット

出生前診断では、胎児の先天性の異常をいち早く見つけることができますが、そのことが出産することのメリットになったり、逆にデメリットになったりします。

出生前診断を受けることのメリットとデメリットにはどんなものがあるでしょうか。

メリット

・先天性の異常を早期に発見し、治療が可能な場合には、早期に治療が開始できる。
・胎児に異常があることが分かった場合、出産を決意した場合には、事前に準備ができる。

デメリット

・検査を受けることで、流産する可能性がある。
・胎児に異常があることが分かった場合、育てる自信がなくなり、中絶してしまうことがある。

まとめ

出生前診断を受けるか否かは妊婦の意思によるので、後悔しないように、慎重に考えてから決めるようにしましょう。

出生前診断は命の選別につながるのではないかと懸念する声があがっている一方で、出生前診断にはメリットが多いということも事実です。

出生前診断を受けるに当たっては、倫理的な面も含めて、メリットとデメリットを良く理解しておくことが大切です。

パートナーや家族と相談するのはもちろんですが、医師やカウンセラーなどともよく相談しましょう。

そうすることで、出生前診断に対しての正しい知識が得られやすくなり、また、診断に対しての自分なりの考え方も整理できます。

最近では、高齢出産などの際に出生前診断を考える人が増えてきていることもあり、カウンセリングを行う病院も多くなってきています。

疑問に感じることや不安に感じることなどがあれば、まずはカウンセリングを受けてみるというのも一つの方法です。